事業活動を通じて社会的価値を創出し、
サステナブルな全てのステークホルダーの幸せを追求してまいります。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2024年4月1日付で、代表取締役社長に就任いたしました依藤 敏明でございます。
ここに当社2024年3月期(2023年4月1日から2024年3月31日)における営業の概況ならびに決算の内容等につきましてご報告申し上げます。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2024年6月
代表取締役社長 依藤 敏明
日本空調グループ経営理念
お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する。
全社員が一丸となって経営理念を共有し、お客様の満足度のより一層の向上を追求しております。
これからも、建物設備のメンテナンスサービスを通じて、建築物に要求される最適な環境を実現する「環境創生企業」として社会に貢献することが、私たち日本空調グループの使命であると考えております。
2024年3月期の経営成績の概況
売上高全体としては、前年同期比10.1%増の58,232百万円となりました。(3期連続過去最高)
メンテナンスサービス売上高⇒主に病院及び研究施設、製造工場等におけるスポットメンテナンス業務受注の増加が寄与し、前年同期比5.8%増の36,696百万円となりました。(13期連続過去最高)
リニューアル工事完成工事高⇒主に病院及び研究施設、製造工場等における設備工事案件の増加や、資機材不足、機器の納期遅延等の問題が解消されたことによる案件消化の加速が寄与し、前年同期比18.3%増の21,536百万円となりました。(2期連続過去最高)
営業利益は、ベースアップによる人件費増加や、コロナ禍の行動制限解消等による販管費増加があった一方で、それを上回る売上高の増加により、前年同期比27.5%増の3,630百万円、経常利益は26.6%増の3,863百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、前年同期比40.4%増の2,725百万円となりました。
連結業績ハイライト
■売上高
2024年3月期
■経常利益
2024年3月期
■営業利益
2024年3月期
■親会社株主に帰属する当期(四半期)純利益
2024年3月期
■種類別売上高構成(%)
2024年3月期
■受託施設別売上高構成(%)
2024年3月期
特殊な環境を有する施設の売上高比率 75.3%
※特殊な環境を有する施設は「病院及び研究施設」「製造工場等」「その他の特殊な施設」を指しております。
※比率については、小数点第2位を四捨五入しているため合計が100%にならない場合があります。
株主還元について
■1株当たり配当金
■配当性向
2024年3月期 1株当たり配当金実績
中間 |
期末 |
年間 |
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15円00銭 |
24円00銭 |
39円00銭 |
2025年3月期 1株当たり配当金予想
中間 |
期末 |
年間 |
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20円00銭 |
20円00銭 |
40円00銭 |
■1株当たり当期純利益
※2022年3月期は政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益(1,391百万円)を計上。
■配当利回り
■株価
■株主総利回り
※'19/3=100.0とした場合
トップインタビュー
2024年4月1日付けで、新社長に依藤 敏明が就任いたしました。この度、当社の強みや課題、そして、今後の中長期的な展望などについて新社長へインタビューを行いました。
1987年 4月 |
当社入社 |
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2013年 4月 |
当社東日本本部横浜支店長 |
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2014年 4月 |
当社執行役員横浜支店長 |
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2015年 4月 |
当社執行役員九州支店長 |
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2022年 4月 |
当社執行役員経営企画部長兼海外部長 |
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2022年 5月 |
株式会社日本空調北陸取締役 NACS BD Co., Ltd. Chairman & Director |
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2022年 6月 |
当社取締役執行役員経営企画部長兼海外部長 NACS Singapore Pte. Ltd. Managing Director NACS Engineering Myanmar Co., Ltd. Managing Director(現任) |
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2022年10月 |
当社取締役上席執行役員経営企画部長兼海外部長 |
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2023年 4月 |
当社取締役上席執行役員経営企画部長 |
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2024年 4月 |
当社代表取締役社長(現任) |
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入社以来、RACを17年、RACリーダーを1年、サブマネージャーを2年、マネージャーを6年、支店長を9年経験した後、経営企画部長兼海外部長を経て代表取締役社長に就任いたしました。
現場経験が長く、当社の事業部門全て※の責任者を経験しており、豊富な人脈と技術全般に精通していることが強みです。
※当社の営業所からお客様の営業所に赴き、保守点検やメンテナンス等を行う「PM事業」、病院等お客様の施設に当社社員が常駐し、設備の維持管理を行う「FM事業」、主にPM・FMから派生する設備の入れ替え工事を行う「RAC事業」のこと。
Q1 | 社長が考える当社の強みについて教えてください。
当社の最大の強みは、独立系企業であらゆるメーカーの設備に対応できるという点です。また、従業員が高い技術力を有しており、設備に関する全てをトータルサポートできることも強みです。さらに、お客様の施設に万が一の不具合があれば、すぐに当社従業員が現場に駆け付け、その場で対応できる即応力があります。私自身もお客様のところへご挨拶にうかがった際、「とても助かっています」というお声を頂戴しており、ご評価いただいていることを実感します。
当社の従業員は基礎がしっかりとしており、様々な機器についてのノウハウを持っているため、メーカーごとの設備の特性を活かした最適な提案やメンテナンスが可能です。そこが当社独自の強み・競合優位性に繋がっています。
Q2 | 社長が考える当社の今後の課題について教えてください。
いかに人材を確保し、育てていくかが課題だと考えています。「2024中期5ヵ年経営計画」を達成するためには、新入社員・中途社員を合わせ、毎年純増で約50人の従業員(連結)を増やしていかなければならないためです。
その課題を解決するために、ベースアップや福利厚生、研修制度の充実化を行い、従業員の定着率を上げていきたいです。また、当社はまだSNSでの発信力が弱いため、求職者に当社の魅力を積極的に発信することで、採用数を増やしていきたいと思っています。
今いる従業員の定着率を上げることを意識しつつ、新入社員・中途社員の採用も積極的に行っていきたいです。
Q3 | 「2019中期5ヵ年経営計画」の総括をお願いします。
ー財務目標についてはいかがでしたか。ー
2019中期5ヵ年経営計画の期間は、新型コロナウイルスが蔓延し、業績が落ち込んだ企業が多かった中で、「空調を活用したコロナ対策の仕事」の需要が高まり、当社では設備工事の仕事や、病室の陰圧化※1等の仕事が増えました。
もちろん行動制限等の影響を受けて減った仕事もありましたが、コロナ禍を無事乗り越えて、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益については目標を達成することができました。
特に、最終年度はコロナ禍が収束して資機材の調達状況が改善し、工事案件を順調に消化できるようになりました。これは、最終年度の売上が大きく伸びた要因となりました。
※1:室内の気圧を外部より低く保つことで、汚染された空気が外部へ漏れることを防ぐ方法。(空気は圧力の高い方から低い方に流れる)
ー非財務目標についてはいかがでしたか。ー
達成できなかった目標がありました。例えば、「従業員満足度」。こちらは、給与・賞与の面でネガティブな回答が多い傾向にありました。前期・今期と2年連続でベースアップを実施したため、給与・賞与の面では満足度が上がってくれることを願っていますが、今後も従業員の声を吸い上げて、モチベーションアップに繋がる施策を検討していきたいです。
次に、海外営業利益比率についても目標を達成することができませんでした。これは、コロナ禍の行動制限の影響が大きかったといえます。シンガポールは良好な受注環境により続伸傾向にありますが、タイとベトナムの進捗が停滞していると感じています。ただ、伸び悩んでいる当該2ヵ国も着実にお客様の数は増えており、引き続き、海外事業にも注力してまいります。
Q4 | 2024年6月7日に発表された「2024中期5ヵ年経営計画」の策定の 狙いと今後の中長期的な展望について教えてください。
ー策定の狙いについて教えてください。ー
当社グループは、「お客様の事業活動のサステナビリティに寄与し、社会全体の価値向上を図る」ことがパーパス(存在意義)であると認識しており、「サステナブルな全てのステークホルダーの幸せ向上」を長期ビジョン(ありたい姿)としています。
その長期ビジョンを実現させるために、新中計の策定にあたっては「2019中期5ヵ年経営計画」の財務目標と非財務KPIを徹底的に精査し、相関性が見られないと判断したKPIについては、目標とすることをとりやめました。
例えば技術力指数において、「昇格試験の際に点数となるから取っておこう」という考えではなく、現場で必須となる資格を持つ従業員が増加すれば、それは売上高の増加に繋がります。そのため、新しいKPIは「コア技術力指数※2CAGR※3 3%」という目標としました。
多くの資格を持つベテラン社員も、近いうちに定年退職を迎えてしまいますが、それを補える体制に今から備えていきたいと考えています。
※2:従来の技術力指数(技術系公的資格取得数×資格点数÷技術系従業員数)から、より本業の成長と相関が高いと考えられる公的資格にて再構築したKPI。
※3:年平均成長率。
ー中長期的な展望について教えてください。ー
基本的には、今後もPM・FM・RACの3つの事業を基盤としていくことには変わりませんが、それに加えて自家消費型太陽光発電事業による製造工場へのアプローチ強化や、バリデーションサポートによる医薬品製造施設等への深耕開拓、当社が特許を取得した空間除染手法による医薬・医療施設等への新規開拓を加速させていきたいと考えています。太陽光事業については、グループ会社である㈱日本空調北陸と連携をとりながら、アプローチ強化に取り組んでまいります。
当社が注力する特殊な環境を有する施設については、売上高比率の目標を75%から70%程度としました。これは、特殊な環境を有する施設の受注が減った等のマイナス要因ではなく、昨今のトレンドとして一般ビルにおけるメンテナンス、リニューアル工事の需要が高まっている状況を踏まえて、収益源となる一般ビルの仕事にも力を入れ、安定的な成長に繋げていくという方針としたためです。
海外事業については、日系企業の動きにもよりますが、当面は新たな国には進出せず、現在進出している国において基盤を固めていきたいと考えています。まずは、伸び悩んでいるタイとベトナムをしっかりと軌道に乗せていきたいです。
■「2024中期5ヵ年経営計画」の財務KPIと非財務KPI
ー株主還元について教えてください。ー
株主還元については、以下の図に示すとおりとしております。連結配当性向50%程度という点は、当社が従来より大切にしてきた目標ですので、今回も目途として達成を目指し、引き続き、本業の持続的な成長による利益拡大を前提とした、安定的な利益還元を目指してまいります。
Q5 | 今後の抱負と株主の皆様にメッセージをお願いします。
私が常々申し上げている目標は、時価総額500億円、売上高1,000億円の企業となることです。私の在任中※4には達成が難しいと思いますが、次の世代のためにしっかりと基盤づくりをしていきたいと考えています。
全てのステークホルダーの皆様のためにやるべきことをやり、安定成長で還元もしっかりと実施していきますので、今後とも長い目で当社を応援していただければ幸いです。
※4:社内規程の定めにより、代表取締役の在任期間を通算6年までとしている。
※本記事の内容は、インタビュー実施時点(2024年6月)のものです。
株主・投資家の皆様との対話の実施状況について
当社は、株主・投資家の皆様との「対話」による双方向コミュニケーションを重要視しております。
当社の経営状況や運営方針の正確・迅速な開示に努めると共に、皆様からのご意見等を経営にフィードバックすることによって、企業価値の最大化に取り組んでいます。
以下に、2022年度、2023年度における当社IR活動の実績報告を掲載いたします。
IR活動の実績
活動 |
2022年度 回数/参加人数 |
2023年度 回数/参加人数 |
内容 |
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機関投資家・アナリスト向け決算説明会 |
2回/計37名 |
2回/計32名 |
中間・期末の決算説明会を開催 |
個別取材 |
7社/計7回 |
16社/計22回 |
代表取締役社長やIR担当役員による国内外機関投資家・アナリストとの対話(ESGに関するものを含む) |
定時株主総会 |
1回/計32名
|
1回/計77名
|
株主の皆様への事業報告等 毎年6月下旬に開催 |
名証IR EXPO |
2日間/約800名 (ブース来場者) |
2日間/約770名 (ブース来場者) |
当社ブースにおける個人投資家との対話+ミニ説明会 ※㈱名古屋証券取引所主催 |
名証IRセミナーオンライン |
1回/約200名 |
参加無し |
個人投資家向け会社説明会(オンライン形式) ※㈱名古屋証券取引所主催 |
株式投資ウインターセミナー |
1回/約285名 |
1回/約288名 |
個人投資家向け会社説明会(対面形式) ※㈱名古屋証券取引所主催 |
個人投資家向けIRセミナー |
参加無し |
1回/約86名 |
個人投資家向け会社説明会(オンライン形式) ※ログミー㈱主催 |
名証IRセミナーin大阪 |
開催無し |
1回/284名 |
個人投資家向け会社説明会(対面形式) ※㈱名古屋証券取引所主催 |
名証・ますも証券IRセミナーin福井 |
開催無し |
1回/約175名 |
個人投資家向け会社説明会(対面形式) ※㈱名古屋証券取引所・ますも証券㈱主催 |
株主様アンケート調査 |
1回/1,156名 (回答者数) |
1回/1,261名 (回答者数) |
2022年・2023年9月末時点の株主様へアンケートを送付 |
潜在株主アンケート調査 |
1回/1,030名 (回答者数) |
1回/1,100名 (回答者数) |
個人投資家を対象としたインターネット調査(当社Webサイトコンテンツを閲覧しアンケートに回答する形式) |
株主様アンケートの結果について
前回発行の第61期上半期報告書ご送付時に同封しました「株主様アンケート」にて貴重なご意見を多数お寄せいただき、誠にありがとうございました。
頂戴しましたご意見を、今後の経営やIR活動に活かしてまいります。
以下に集計結果と、お寄せいただいたご意見(一部抜粋)をご紹介いたします。
- 今後、業績好調による株価上昇と増配に期待している。
- 「環境創生企業」として社会貢献をお願いしたい。
- 従業員満足度は、これからの時代において重要な指標になると思う。しっかりとした労働環境に期待する。
- 特殊施設や病院・工場で8割弱を賄っている点がすごいと思う。今後とも微増で良いので着実に成長してほしい(業績・配当等)。また、海外事業にも一層力を入れてほしい。
- 技術者集団の会社に期待している。配当性向50%の維持もお願いしたい。
- 空調メンテという大変貴重な役割を担っている点に魅力を感じている。益々の発展を願う。
〈免責事項〉当該ページに記載されている内容は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて作成したものであり、経営環境の変化等の事由により、予告なしに変更する可能性があります。(2024年7月1日作成)