日本空調サービス
代表取締役社長
依藤 敏明氏
よりふじ・としあき
1987年、日本空調サービスに入社し、設計・施工部門でキャリアをスタート。2013年以降、横浜支店長や九州支店長、取締役上席執行役員経営企画部長兼海外部長などを歴任。2024年より現職。
メンテナンス、保守管理、設計・施工の
ワンストップで設備の安定稼働を支える
経営理念を支える技術力でシビアな環境管理にも対応
愛知県名古屋市に本社を構える日本空調サービスは、建物設備の総合メンテナンス事業を全国展開する企業だ。①訪問メンテナンス、②客先に常駐しての保守管理、③リニューアル工事などの設計・施工の3つが中核事業となっている。2024年4月に同社代表取締役社長に就任した依藤敏明氏は、設計・施工の技術畑出身だ。
「メンテナンスや保守管理だけでなく、設計や施工までワンストップで提供できる企業は全国的に見ても稀有な存在です。この点は当社の最大の強みだと自負しています」(依藤氏)
同社は経営理念として「お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する」とのミッションを掲げる。この理念の目的となっているお客様施設の最適な環境の維持について、同社は並々ならぬこだわりを持っている。
「当社は、病院や研究施設、製薬工場など、シビアな管理が求められるがゆえに同業他社の参入障壁が高い特殊な環境を有する施設の売上高が7割以上を占めています。こうした施設の安定稼働を支えるとともに、総合的な環境診断や省エネ提案などにも事業を広げ、お客様のサステナブルな事業成長のサポートに取り組んでいます」(依藤氏)
同社の経営理念を実現する裏付けとなっているのが3つの優位性だ。
「1つ目は、特殊な環境を有する施設の安定稼働を支える上で欠かすことのできない技術力です。経験が必要なので人財育成への投資にも注力しています。2つ目は、メーカーフリーの対応です。病院や工場には多様なメーカーの機器が導入されていますが、当社はメーカーの制約を受けない独立系企業であるため、あらゆる修理や整備に柔軟に対応することが可能です。3つ目は、全国的なサービスネットワークです。47都道府県に営業所やグループ会社の拠点があるため、全国どこでも同じ品質を担保できるほか、お客様企業のご担当者様が他エリアの支店に異動されてもご指名いただくことができ、長いお付き合いが可能となります」(依藤氏)
事業範囲拡大をベースに最新テクノロジーにも対応
日本空調サービスは今年、創業60周年を迎えた。技術力を磨き、業容を拡大することで成長してきたが、近年の業績も好調だ。2024年3月期における売上高は3期連続過去最高を更新し、主力事業のメンテナンスサービスにいたっては13期連続で過去最高の売上高を更新している。これを支えているのは経営理念に込められた思いや、それを実現する優位性だが、加えて以下のような要因があると依藤氏は分析する。
「新型コロナウイルス感染症の流行はビジネスに影響を及ぼしましたが、空調設備を扱う当社の場合、換気のニーズがあったため大きな落ち込みはありませんでした。直近ではコロナが5類に移行したことで対面サービスも復活しましたし、当社のお客様の事業環境も良化しています。とくにAI関連企業やデータセンターなどの設備投資が増えており、高い技術力を持ち、メンテナンス、保守、施工をワンストップで提供できる当社の強みが好調な業績につながっていると実感しています」(依藤氏)
総売上高は3期連続、メンテナンスサービスの売上高は13期連続で過去最高を更新
今後もテクノロジーの加速度的な進化が予想されるが、依藤氏は「創業以来、事業範囲を拡大しながら技術力を磨き、再生可能エネルギーの提案などにつなげてきた当社なら、最新テクノロジーにも対応できると信じています」と語る。
依藤氏が入社した1987年度、76億円だった売上高は、2023年度には582億円に達したが、今後も高い目標を持って成長していきたいと依藤氏は言う。
「2029年3月期を最終年度とする『2024中期5ヵ年経営計画』では、740億円の売上高目標を立てており、長期的には売上高1000億円も目指したいと考えています。また、時価総額500億円もクリアしたい目標です」(依藤氏)
新たな経営計画のビジョンとして「サステナブルなすべてのステークホルダーの幸せ向上」を掲げ、人的資本の価値向上にも力を入れていきたいという同社。今後、どのような成長を遂げるのかに注目だ。
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