この度、2022年6月就任の新任取締役4名が、日本空調サービスの持続的な企業価値向上をテーマに、現在の課題や強み、そして今後の抱負等について語り合いました。

※2022年10月時点でのインタビュー内容です。

 

皆様が感じている日本空調の経営戦略上のリスクについて教えてください。

諏訪:

当社グループでは、以前より「リスク管理委員会」を設置し、議論を重ねながら、全社的に取り組んでおります。中でも人材不足については、重要なリスクとして優秀な人材確保に向けて取り組んでいます。

 

白石:

技術力を持つ人材を増やすことも重要です。そこで、教育の効率化と質の向上のために、全国の従業員が集まり技術を磨く研修センターの建設計画を進めています。
当社は全国に拠点があり、地域毎で顧客特性や扱う機器、仕事内容も細かい部分が異なります。研修センターは単なる実践研修の場ではなく、全国の従業員が情報交換を行い、横の繋がりを深められる場所にしたいです。

 

依藤:

保守の仕事が多い地域もあれば工事の仕事が多い地域もあり、病院や工場、水族館、空港等、お客様も多種多様です。全国各地で異なる経験を持つ従業員同士が交流することは技術力の平準化に繋がりますね。

海外事業についてはいかがですか。

依藤:

海外事業は、近年、コロナ禍によるロックダウンや営業活動の制限で苦戦を強いられていましたが、最近、ようやく制限が緩和され、徐々に仕事が増えています。今度は逆に案件の消化が追い付かなくなりそうで、現地採用・育成を進めながら、日本からも技術者の出張応援等の支援をすることで、このまま軌道に乗せていきたいです。
 
白石:

海外事業拡大のために、今の昇格制度や駐在員の処遇等を、もっと若手が海外にチャレンジしてみたいと思えるようなものに見直す必要があると思います。
 

 

北川:

従業員が海外にチャレンジしてみたいと思える仕組みづくりはぜひ進めていただきたいですね。

技術の伝承や採用活動、人材流出対策についてはいかがですか。

北川:

今後、ますます少子高齢化が深刻化する中で、ベテランから若手への技術の伝承に注力することが急務です。
 
白石:

インストラクター制度(※1)やマスター制度(※2)等、今ある仕組みを活かしつつ、研修センターができれば、技術伝承の効率化も叶うと思います。

 

※1:先輩社員が新入社員をマンツーマンで指導する制度。

※2:「匠」の技と知識を持つ社員が全社的な指導・教育・育成等を担う制度。

 

諏訪:

採用活動においては、学生からは3K(きつい・汚い・危険)のイメージをもたれてしまうのですが、当社の仕事の魅力や社会的価値について、学生に正しく理解してもらえるよう、情報発信をしています。

 

依藤:

新卒の入社後は、先輩、上司がきちんとコミュニケーションをとること。
普段のコミュニケ―ション・会話の積み重ねが組織力をつくり、定着率を上げるのだと思います。時代の流れでコミュニケーションのとり方や価値観が大きく変化していますが、メールやSNSではなく、直接会話をすることが重要だと思います。

今年の4月から始まった新人事制度で、どのような変化がありましたか。従業員の反応はいかがですか。

諏訪:

人事制度は、従前から少しずつ改定をしておりましたが、大きな改定としては、十数年ぶりとなります。初年度のため、浸透していない事や、想定外の課題等もありますが、従業員の意見を聞きながら、今後も柔軟に見直しを行っていくつもりです。
当制度改定の目的は、従業員が「当社に入って良かった。仕事って楽しい、これからも頑張ろう」と思えるようにすることです。
全ての立場の人が満足のいく改定というのは難しく、様々な意見をもらっています。例えば、人事評価は単なる「査定」とすることなく、「成長」を促す機会となるよう、フィードバック面談の充実を図りました。そうなると管理職の負担は増加するのですが、従業員に期待・課題等のフィードバックをすることで納得感を高め、また、成長意欲を高める仕組みとしました。
 
依藤:

給与面の充実も当然大事ですが、それだけではなく福利厚生や働きやすさ、やりがいなども含めて変えていく必要があります。
また、資格手当を充実させることや、資格取得に取り組みやすい環境をつくることも必要です。工事や点検のために資格が必要なことはもちろんですが、公的資格は、他社との差別化やお客様の安心感にも繋がるため、資格取得を後押ししていきたいです。
 
諏訪:

今も、各拠点で先輩社員が講師となり、資格の勉強会を定期的に開催していますが、会社として教育に投資をしていきたいですね。
 
白石:

あとは、若手がもっと上を目指したくなる環境にすること。上司がいつも眉間にしわを寄せて仕事をしていたら、そんな姿を見て若手は昇進したいと思いませんよね。
管理職層の満足度を上げる取り組みを考えていかないと。みんなが憧れるような大きなインセンティブを出す等は検討の余地があると思います。

社外取締役の観点から、日本空調の人材への取り組みについてどのように感じていますか。

北川:

先までの制度面の話は当然重要ですが、組織が大きい分、浸透させるのに時間がかかりますし、予算の都合もあります。
同時に実施しなければならないのは、制度以外の面から、もっと即効性の高い従業員の満足度・気持ちを高める取り組みだと思います。
例えば、従業員同士のコミュニケーションの場を会社としてつくること。コロナ禍で仕事以外の会話をする機会も減ってしまいました。無駄の効用というように、何気ない無駄話でお互いのことが理解できたり、悩みを聞いたりすることで、満足度も上がり、離職防止になると思います。

 

女性の活躍推進の状況はいかがですか。

諏訪:

単体で女性正社員は139名(2022年3月末時点)です。8割は管理部門(事務系)で、2割は病院等常駐・定期保守の技術職として活躍しています。また、女性管理職は10名程度(全て管理部門)という構成になっています。
 
北川:

機関投資家の議決権行使の基本方針に、ダイバーシティを重要視するところも増えています。海外だけでなく国内でも、今後、この機運は高まっていくと思います。

女性の技術者を増やすための取り組みはありますか。

諏訪:

病院現場では、女性しか入れない場所があり、女性技術者が必要とされ、活躍できる場面が多いです。また、お手洗い、更衣室等の設備が整っているため、女性技術者が安心して働ける環境となっています。
毎年、新卒採用人数のうち8%を女性とするKPIを設定していますが、なかなか達成が難しく、北川取締役には、女性目線のアドバイスをいただきたいです。
 
北川:

「女性もこんな風に活躍しています」といえるロールモデルの女性を前面に出して、学生や若手に憧れを抱いてもらえるようにPRすることが効果的と思います。
また、女性の視点が仕事に活きる場面がたくさんあることもPRしたいです。
 
依藤:

以前、現場で「そんなところ見ているの?」と驚くような指摘をする女性技術者がいました。女性の視点を活かして活躍してもらうことは、新たな顧客ニーズの発見や問題解決にも繋がると思います。

 

北川:

更に、産休・育休体制を万全にして、女性が職場復帰しやすいようにすること(※3)。また、男性の育休にも配慮が必要です。
 

※3:当社では、育児短時間勤務は法定を上回る「小学校修了年度末まで」とし、仕事と育児の両立を促進する制度としています。また、女性社員の育休取得・復職率は現状100%となっています。

次に、日本空調の企業価値向上を支える「強み」とはなんでしょうか。

依藤:

独立系企業であらゆるメーカーに対応できるという点。また、連結売上高のうち年間契約が全体の約4割を占めている安定した事業基盤。お客様の施設に何かトラブルがあれば、すぐに解決しようと、当社従業員が現場に駆け付けてその場で対応する即応力。
お陰様で、お客様は当社を信頼しずっと契約をしてくださっています。既存契約がしっかりしているので新規開拓にも注力できます。

白石:

新規開拓は現在、特殊な空気環境を必要とする民間工場を中心に営業活動を強化しています。とりわけ当社は本社が愛知県にあるため、愛知は官公庁関連の仕事が多く、今まで民間開拓が手薄でした。西日本で民間工場開拓の素地をつくった私の経験を、中日本での新規開拓に活かしていきます。
工場の新規開拓を進めることで、当社の技術力は更に高まります。見たこともない機械があったり入場ルールが厳しかったり、各種工場によって特殊なルールがあります。そこで経験値を積むことが当社の更なる成長に繋がります。
 
北川:

日本空調の対応力の源泉は、皆さんのフットワークの軽快さにあると肌感覚で感じました。皆さん、雰囲気がとても快活で意欲的でフットワークが軽いです。これが「人」の強みだと思います。
また、ワンストップでサービスを提供している点。これは、お客様にとって効率化に繋がり大きなメリットです。日本空調としてもお客様の潜在ニーズを見つけやすく、新規事業を見つける機会になると思います。
海外は、これから空調技術のニーズが広がります。文化を理解して、うまく対応していくことができれば、伸び代が期待できます。
 
依藤:

当社は幅広く病院、工場、その他特殊な建築物の管理をしているため、様々な情報を蓄積でき、色々なところで応用できます。そういった点で他社が簡単に真似できないような独自の提案が可能なのです。
例えば、メーカー系ですと自社製品のみへの対応ですが、当社はあらゆるメーカーの機器に対応できます。また、メーカー製品毎のメリット・デメリットを熟知しているため、「この場合はこのメーカーのこの機器が良いです」という提案ができます。
 
諏訪:

建物の中には様々なメーカーの機器が入っていますが、不具合があった際、「これはA社に、これはB社に…」というお客様の煩雑な手配を、当社1社だけで完結できます。

 

白石:

当社従業員は誠実で真面目です。誠実にお客様の困っていることを聞いて、すぐにその場で応急処置をする、状況に応じて機器の更新提案を行う等の提案力があります。お客様のところへご挨拶にいくと、「〇〇さんにはいつも助けられている」と褒めていただけます。従業員が誠実に対応している積み重ねの結果だと直に感じています。

 

最後に、今後の抱負と、従業員、株主の皆様へのメッセージをお願いします。

白石:

私は5支店の勤務経験で培った人脈を活かし、現場を長く経験した取締役として従業員の皆さんの幸せを第一に考えていきたいです。それが結果的に企業価値向上に繋がります。

100周年を目指し、若い方にバトンを渡すのが私の仕事だと思っています。株主の皆様には、長い目で末永く当社を応援していただきたいです。

 

依藤:

目指すは時価総額500億円、売上高1,000億円企業です。従業員が誇りと自信を持てる会社にしたいです。
株主の皆様には、安定成長で還元もしっかりと実施する当社を長い目で応援していただければ幸いです。
 
諏訪:

まもなく60周年目を迎えますが、従業員が今後も安心して働ける会社として、老舗といわれる企業になればと思っています。株主の皆様にとっては、「投資して良かった」と思ってもらえる企業にしていきます。
 
北川:

皆さんのお話が頼もしいです。私は社外という立ち位置でガバナンス、コンプライアンスに注視し、違和感を感じた時は空気を読まずに発言させていただきます。弁護士としての私の知識や経験を日本空調の経営に活かし、ダイバーシティの推進もしていきたいです。今後とも、よろしくお願いいたします。

依藤 敏明

(よりふじ としあき)

 

現場経験が長く、当社の事業部門*すべての責任者を経験。

豊富な人脈と技術全般に精通していることが強み。

諏訪 雅人

(すわ まさと)

 

現場は当社の事業部門*すべてを経験。

人事部門(約10年)の深い知識・経験と支店長時代の広い人脈が強み。

白石 一彦

(しらいし かずひこ)

 

得意分野は民間開拓および組織運営。

九州・大阪・中四国・東京・名古屋の5支店の経験による幅広い人脈が強み。

北川 ひろみ

(きたがわ ひろみ)

 

弁護士業(26年余)の傍ら、法科大学院にて教鞭を執る。

弁護士として、企業案件から個人案件まで幅広く取り扱う。

※当社の事業部門…当社の営業所からお客様の施設へ赴き、保守点検やメンテナンス等を行う「PM事業」、病院等お客様の施設に当社社員が常駐し、設備の維持管理を行う「FM事業」、主にPM・FMから派生する設備の入れ替え工事を行う「RAC事業」のこと。

 

 

※掲載内容は2022年10月取材時点のものです。今後の経済情勢・社会情勢等、様々な要素により、内容が一部変更となる可能性があることをご承知おきください。