今回は、2020年6月19日付で新たに日本空調サービス株式会社 社外取締役に就任したお二方に、「当社に対する印象」及び「自身が果たしていきたい役割」等についてインタビューを実施いたしました。

※2020年10月時点でのインタビュー内容です。

1. 社外取締役に就任して約4ヵ月が経過しましたが、日本空調サービスの社風についてどのように感じられていますか。

田中: 社風としては、「真面目で実直な会社」であると感じました。社外取締役就任後、この約4ヵ月間は当社の取締役会をはじめ、いくつかの会議に出席し、コーポレート・ガバナンスがきちんと整備・運用されているかを見てまいりましたが、コーポレート・ガバナンスコードに沿った整備状況は良好であり、取締役会等で率直な対話が行われている状況から、誠実にガバナンスを整備・運用しようとする経営層の意欲を感じました。

 

 今後、3ヵ月間ほど掛けて全国の当社支店・部・グループ会社を訪問し、当社グループについて更に理解を深め、社外取締役として、ステークホルダーの立場から指摘・提言をすることで経営の監督を行ってまいります。

 

東本: 社外取締役就任の前に、まず当社グループの経営理念や社是を確認しました。その際、一番印象に残ったのは、社是の「〈努力〉我々は秀才ではない 努力こそ秀才の道である」「〈根性〉根性なきものは去れ」という部分でした。その硬派な主旨に少し驚くとともに、私も昭和生まれの人間として共感を覚えたものでした。


 その後、名古屋市名東区にある本社で業務が始まりましたが、社是の硬いイメージとは異なり、非常に穏やかで親しみやすい雰囲気の会社でした。取締役会へも出席しましたが、私のような外部の人間の意見に対して非常に寛容な雰囲気があるので、社外取締役としては積極的に発言しやすい環境であると感じました。

 私が最初に想起した硬派さは、恐らく高度経済成長期の日本で当社の創業時に醸成されたもので、それが今も組織風土として内在しており、今現在感じる穏やかな雰囲気は、昭和・平成・令和という時代の流れと共に変遷してきた組織文化であると理解しました。

 

2. これまでお二方はどのようなご経験を積み重ねてこられましたか。

田中: 私は、工学系の大学院修了後、3年間、大手メーカーの研究所に勤務し、短いながらも企業人として貴重な経験をさせていただきました。その後、家業の会計事務所引継ぎのため、公認会計士に転職し、30年以上に渡り、監査法人で監査業務に従事し、一方で税理士として税務業務にも従事してまいりました。


 この間、多岐に渡る企業の成長や衰退の様相を目の当たりにするとともに、組織再編・事業再生の課題等にも直面し、経営者の課題解決の一助となるよう努めてまいりました。

 

 また、企業不正や民事再生に直面したこともあり、こうした経験から、企業の持続的成長のためには、まず、良く練られた経営理念と経営戦略、きちんと整備されたコーポレート・ガバナンスとこれを支える良き企業文化が重要であると感じました。

 

東本: 私自身は長年に渡り、主にアジア圏のインフラ建設のアドミニストレーションマネージャー* として業務に携わってきました。案件を受注すると真っ先に海外現地に乗り込み、組織を立ち上げて、工事が完了すれば撤収するというプロジェクトの一連の流れの中で、Uniqueness(唯一無二)、 Complexity(複雑性)、Uncertainty(不確実性)という建設工事の基本原則を学び、その後の私の指針となっています。


 インフラプロジェクトは、通常は人の目に触れない所で進められますが、私が担当したものの中ではひとつ例外があります。それは日本が誇る新幹線を初めて海外に輸出した「台湾新幹線プロジェクト」です。今でも当時の苦労や関わった方々のことを思い出すと感慨深いです。書籍化・ドラマ化もされていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。

* 海外現地で業者との折衝・調整業務や人事総務・財務経理業務等を行う管理・運営部門の責任者

 

3. そのご経験・専門性を日本空調グループの持続的成長のためにどう活かしていきたいとお考えですか。

田中: 前述の様々な経験・知識をもとに、コンプライアンスの強化、適切な経営判断に資する助言、指導を行ってまいります。そのためにまずは、大局的に当社を見た上で、気になる点は納得のいくまで追求し、状況を把握することが重要であると考えています。


 具体的には、重要な会議に参加することはもちろん、全国の支店・部・グループ会社を巡り、できるだけ多くの従業員・役員の話を聞き、それを糧として、社内からは見えづらい部分や課題等について社外の広い視点から意見を申し上げることで、企業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応できるガバナンス体制づくりを後押ししていきたいと思います。
 

 

東本: 私は全く別の業界の出身であり、それ故に「独立性」が確保されているのですが、実は当社が生業とする保守・管理・設計・施工という仕事と、私の業務経験には共通点も多く、その意味で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するような役割・責務を果たせるのではないかと考えています。


 また、当社の取締役会は様々な経験と専門性を備えた複数のメンバーで構成され、バランスの取れた判断ができる組織となっており、私の場合は特に海外事業の展開に寄与する助言を行いたいと思っております。

 

4. 最後に、株主の皆様へ向けてのメッセージをお願いいたします。

田中: 日本空調グループのビジネスモデルは、特殊な環境を有する施設の設備管理というニッチな領域に特化しながら、堅実に成長することを目指しており、また、事業を通じて社会的課題を解決することで新たな社会的価値を生み出し、それを経済的価値に転換することであらゆるステークホルダーの幸せを向上させるというビジョンを持っています。これを実現させるために、幅広い目線で当社の経営に携り、社外取締役としての役割を果たしていく所存であります。

 

東本: 当社はメディア等に社名が頻繁に登場するような派手さはありませんが、「お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する」という経営理念の実現に向けて実直に努力する会社であることは間違いありません。私もその一員として微力ながら貢献すべく努力してまいりますので、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。